エリコ新聞

小林エリコのブログです。

漫画、本のレビュー

地獄のガールフレンド

鳥飼茜の地獄のガールフレンドを読んだ。面白くて、楽しく読みやすい漫画だった。 読んだら非常に心がすっきりして自分の中のドロドロしたものが洗い流された。 登場人物は、モテるけど36歳で独身の女性と、31歳で、バツイチで子持ちの女性、28歳だけ…

殺される側からの言葉、「母よ!殺すな」

最近読んで素晴らしく面白かった本。 素晴らしく面白かったって、言葉として変な気がするけど、素晴らしい本だし、面白かったので良いとする。 「母よ!殺すな」は脳性麻痺の当事者が書いた本である。タイトルの「母よ!殺すな」は母親が脳性麻痺の我が子を…

西原理恵子の恋愛指南書。「いいとこ取り!熟年交際のススメ」

あらかじめ言っておくと、この本は活字である。西原理恵子は漫画家である。多分、漫画家西原理恵子が好きな人は買わないかもしれない。 ちなみに、私は中学生の時から西原理恵子のファンで、西原理恵子が書いているのならば何でもかんでも買っていた。チクろ…

思春期の少女の感情を描いた吉田秋生の「桜の園」

舞台はとある女子校である。 誰にでも少女の時はあった。 少女の怒りや悲しみや戸惑いを描いた桜の園は非常に細やかに感情を描写している。 女の子が女になる時には一種の罪悪感に襲われる。 それは自分の意思と反して成長していく体が、男性にとって性の対…

自殺した漫画家、山田花子「神の悪ふざけ」

私が山田花子を知ったのは新聞記事だった。記憶では新聞のはずである。ただ、私が住んでいる町には山田花子の漫画はなかった。 東京にでてから手に入れることができた。 山田花子の漫画はひたすら暗い。暗いのだが、嫌な気分にならない。 むしろ納得しながら…

死刑囚と死刑執行人の深い友情、郷田マモラの「モリのアサガオ」

日本には死刑がある。死刑はすべての国にあるものでない。犯罪を犯したものは裁判によって判決を受ける。 この漫画の主人公は死刑執行人である。あまり気持ちが高まる職業とは言えない。死刑の執行を待つ人を相手にし、そのうち自分も死刑を執行しなければな…

失われた倉多江美を求めてー橋本治の「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」ー

橋本治の花咲く乙女たちのキンピラゴボウを読んでいる 私はずーっと「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」を探していた。 一番本を読んでいた学生時代、素晴らしい本があると大学の時先生が教えてくれた。私が通っていた短大ではなぜか漫画の授業があった。 漫…

90年代グラフティー。よしもとよしともの「青い車」

よしもとよしとも。言いにくい作家名だ。表題作の「青い車」はスピッツからとったそうだ。漫画ではオザケンの曲が流れている。90年代を生きた人にとっては懐かしい漫画である。 久しぶりに「青い車」を取り出した。表紙がよれてボロボロだった。私はこの漫…

女の幸せを探し続ける、松田洋子の「ママゴト」

松田洋子のかく女が私は好きだ。他の人はどう思うだろうか。聞いて回りたい思いにかられる。 松田洋子の漫画に出てくる女の人は男に騙され、暴力にあい、それでも一人でいたくないと願い続ける女たちだ。 ママゴトの主人公は水商売で働いて知らない客の子供…

日本で唯一のバンドデシネ。宮崎駿の「シュナの旅」

シュナの旅は宮崎駿によるオールカラーのマンガ作品である。私が初めて本屋さんで注文したマンガである。 初めて読んだ時、全ページオールカラーという豪華さもあるが、不思議なものを感じていた。擬音は日本語でない。作中の表現なのであえてこの作品でしか…

家庭という共同幻想を破壊する山本直樹の「ありがとう」

「家庭」と聞いて人は何を想像するだろうか。家族が向かい合ってご飯を食べているところだろうか?それとも父親が酒を飲んで暴れ狂っているところだろうか? 家庭とは「安全」なところだろうか。むしろ、閉ざされた空間であり、他者の目が入りにくい場所であ…

子供よ、永遠に子供であれ。小田扉の「団地ともお」

子供だった時を覚えているだろうか。子供のころの感触を覚えているだろうか。夏休みの計画をたて、家族で食事を食べたころを。親に怒られ、兄弟の悪口をいい、家のドアをあけて友達と遊び、夕方に家に帰るあのころを。そんな子供時代を思い出させてくれる漫…

子供の力で再び日の目をみた漫画「ドラえもん」

ドラえもんをしらない日本人はどれくらいいるのだろう。知らない人の方が多い気がする。私が子供の時からテレビアニメで放送され、今もなお続いている。 そんな、ドラえもんだが、連載打ち切りになったことがある。 これに収録されている「さようならドラえ…

人はなんのために生きるのかを問い続ける「ジョージ秋山」

人はなぜ生きるのか、なんのために生きるのか、という問いを書き続ける漫画家がジョージ秋山である。「銭ゲバ」はジョージ秋山の作品のなかで有名な作品だ。 人間は生きるために「金」が必要である。当たり前だが、金がないと生きていけない。金で人は死ぬし…

戦争と愛と死、こうの史代の「夕凪の街」

こうの史代、という漫画家を知ったのはいつだろう。本屋さんでこの本が平積みで置いてあってなんとなく手に取った。家に帰って読んで、泣いた。そして、何度もなんども読んだ。 原爆が落とされて日本は敗戦国になった。 「ぜんたい この街の人は 不自然だ 誰…

現代に残された最後の良心。武富健治の「鈴木先生」

「鈴木先生」タイトルだけ見るとなんとも古めかしい。そして絵柄も古めかしい。しかし、この漫画には、今の日本に失われた「良心」が描かれている。 主人公は中学校の教師である。当たり前だが生徒は中学生だ。 第一話は「げりみそ」である。なかなかインパ…

天才の原石「市川春子」

市川春子を読んだ時の衝撃は自分が壊れそうなほどであった。こんなマンガがかける人が現代にいるのか、と思った。砂金のマンガは紋切り型になってしまってあまり手が伸びないという現状だ。だが、市川春子は違う。圧倒的な画力。圧倒的な世界観。デビューか…

女の欲望から目を逸らさない「安達晢」

幸せの飛行機雲は傑作でありながら問題作だ。私がもっている版の単行本がアマゾンにはなくなっていた。私がもっているのはヤンマガの単行本で「幸せの飛行機雲」の「の」が逆さまになっている。理由は未だにわからない。読んでもなぜ「の」だけ逆さまにした…

ダメな私を永遠に肯定してくれた「西原理恵子」

私が西原理恵子のマンガに出会ったのは中学生の時だった。今から20年以上前になる。今は押しも押されぬ人気漫画家だが、当時は無名であった。私がこのマンガを手に取ったのはタイトルに惹かれてだった。学校にいきたくないけど、行かなきゃいけない、でも…

漫画を描くために漫画を仕事にしない「高野文子」

高野文子は天才である。そして、作品が少ない。天才ゆえにとった手段だと思う。 表題作の「絶対安全剃刀」は書かれたのが1978年。だが全く古さを感じさせない。文字を反転させてみたり、なにか謎があるかのような展開。この奇妙なストーリーと絶対的な絵…

新作が永遠に読めない漫画家「華倫変」

華倫変は「かりんぺん」と読む。日本人なのか、男なのか女なのかさっぱりわからない名前だ。そして「カリクラ」というタイトルも謎だ。タイトルの由来は「華倫変クラブ」の略らしい。 内容は説明しがたい。なにしろ、いままで読んだことがない漫画だからだ。…

生き続けるために読む大島弓子

最近、自分のことを書いていますが、書いていると憂鬱になるので、自分の好きなことについて書きます。私はマンガが大好きですので、勝手に大好きなマンガを紹介していきます。 大島弓子の「バナナブレッドのプディング」 私がこの作品で心を掴まれたのは、…