エリコ新聞

小林エリコのブログです。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

戦争と愛と死、こうの史代の「夕凪の街」

こうの史代、という漫画家を知ったのはいつだろう。本屋さんでこの本が平積みで置いてあってなんとなく手に取った。家に帰って読んで、泣いた。そして、何度もなんども読んだ。 原爆が落とされて日本は敗戦国になった。 「ぜんたい この街の人は 不自然だ 誰…

現代に残された最後の良心。武富健治の「鈴木先生」

「鈴木先生」タイトルだけ見るとなんとも古めかしい。そして絵柄も古めかしい。しかし、この漫画には、今の日本に失われた「良心」が描かれている。 主人公は中学校の教師である。当たり前だが生徒は中学生だ。 第一話は「げりみそ」である。なかなかインパ…

天才の原石「市川春子」

市川春子を読んだ時の衝撃は自分が壊れそうなほどであった。こんなマンガがかける人が現代にいるのか、と思った。砂金のマンガは紋切り型になってしまってあまり手が伸びないという現状だ。だが、市川春子は違う。圧倒的な画力。圧倒的な世界観。デビューか…

女の欲望から目を逸らさない「安達晢」

幸せの飛行機雲は傑作でありながら問題作だ。私がもっている版の単行本がアマゾンにはなくなっていた。私がもっているのはヤンマガの単行本で「幸せの飛行機雲」の「の」が逆さまになっている。理由は未だにわからない。読んでもなぜ「の」だけ逆さまにした…

ダメな私を永遠に肯定してくれた「西原理恵子」

私が西原理恵子のマンガに出会ったのは中学生の時だった。今から20年以上前になる。今は押しも押されぬ人気漫画家だが、当時は無名であった。私がこのマンガを手に取ったのはタイトルに惹かれてだった。学校にいきたくないけど、行かなきゃいけない、でも…

漫画を描くために漫画を仕事にしない「高野文子」

高野文子は天才である。そして、作品が少ない。天才ゆえにとった手段だと思う。 表題作の「絶対安全剃刀」は書かれたのが1978年。だが全く古さを感じさせない。文字を反転させてみたり、なにか謎があるかのような展開。この奇妙なストーリーと絶対的な絵…

新作が永遠に読めない漫画家「華倫変」

華倫変は「かりんぺん」と読む。日本人なのか、男なのか女なのかさっぱりわからない名前だ。そして「カリクラ」というタイトルも謎だ。タイトルの由来は「華倫変クラブ」の略らしい。 内容は説明しがたい。なにしろ、いままで読んだことがない漫画だからだ。…

生き続けるために読む大島弓子

最近、自分のことを書いていますが、書いていると憂鬱になるので、自分の好きなことについて書きます。私はマンガが大好きですので、勝手に大好きなマンガを紹介していきます。 大島弓子の「バナナブレッドのプディング」 私がこの作品で心を掴まれたのは、…