エリコ新聞

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死刑囚と死刑執行人の深い友情、郷田マモラの「モリのアサガオ」

日本には死刑がある。死刑はすべての国にあるものでない。犯罪を犯したものは裁判によって判決を受ける。

この漫画の主人公は死刑執行人である。あまり気持ちが高まる職業とは言えない。死刑の執行を待つ人を相手にし、そのうち自分も死刑を執行しなければならない。

死刑囚なのだから凶悪な犯罪を犯している。死刑を待つ間は意外にも自由にしている。お菓子は食べるし雑誌も読む。私も主人公と同じように凶悪犯がこのようにのんべんだらりと生きていることを不愉快に感じた。

この漫画を読んで初めて知ったが、死刑を執行される時がいつなのかは死刑囚にはわからない。ある朝突然やってくる。この漫画は主人公を通して「死刑」がどのように行われているのかを私たちに教えてくれる。一生、関わることのない世界を教えてくれる。そして、郷田マモラの特筆すべき点は「解説漫画」になることはなく、あまりにも感動的な人間愛溢れる物語に構成してしまうところだろう。

かつてのクラスメイトだった死刑囚。刑を執行する主人公。しかし、友人を死刑に処すという暗い内容でありながら、読後感は深い感動の涙に包まれている。

死刑囚と死刑の執行人の友情を目の当たりにできるのはこの漫画だけである。