エリコ新聞

小林エリコのブログです。

90年代グラフティー。よしもとよしともの「青い車」

よしもとよしとも。言いにくい作家名だ。表題作の「青い車」はスピッツからとったそうだ。漫画ではオザケンの曲が流れている。90年代を生きた人にとっては懐かしい漫画である。

久しぶりに「青い車」を取り出した。表紙がよれてボロボロだった。私はこの漫画が大好きで何度も読んでいた。ツイステッドが一番好きだ。死んだ高校生が若い漫画家に乗り移る話だ。ツイステッドはもともと原作がある。ツイステッドをかいた漫画家はすでに亡くなっている。新聞記事に載っていた気がする。デビューしたばかりで亡くなった漫画家の漫画だ。記憶違いだったらごめんなさい。

よしもとよしともは上手い。細い線でかかれた人たち。なんともない日常。なんともない友達との会話。この漫画からは日常を生きることに飽きてしまった若者が描かれていて、それでもこの平坦な日常を生き続ける若者が描かれている。

なんとなく働いて、誰かを好きになって、誰かとセックスをする。

作品全体にあわられているのは将来へぼんやりとした不安と、そこはかとない諦念。

私がこの漫画を手放したくないのは、あの時代を手放したくないからからだ。