エリコ新聞

小林エリコのブログです。

女の欲望から目を逸らさない「安達晢」

幸せの飛行機雲は傑作でありながら問題作だ。私がもっている版の単行本がアマゾンにはなくなっていた。私がもっているのはヤンマガの単行本で「幸せの飛行機雲」の「の」が逆さまになっている。理由は未だにわからない。読んでもなぜ「の」だけ逆さまにしたかわからない。ここに載せた画像では「の」はそのままだ。なにか理由があるのだろうか。

国語の女性教師と小学生の男の子の話である。女性教師が自分の性欲のために小学生の男の子を使うという内容だ。こう書くと「ただのエロマンガだろ」「もってたらヤバイんじゃないの」と言われそうだ。いや、これはただのエロではない。文学作品だ。講談社が文学を超えたと言っているのだから文学を超えたことにしておこう。この作品が消されたら私は嫌だ。

性欲の道具に使いながら女性教師は懺悔する。「神様、許して」と。しかし、背徳行為をやめることができない。

この女性教師には苦い過去があった。田舎から東京に出てモデルとしてデビューしたものの、テレビドラマで役を与えられたが短すぎるミニスカートを履くように強制される。東京で女が生きるためには自分の体を使わなくてはいけない。使いたくなくても使わなければ芸能界から干されてしまうのだ。魅力的な体をもっているが故の不幸。そして、実家は厳格なクリスチャンの家だった。

東京で一旗揚げられなかった女は田舎に帰る。そして、大学の時にとっておいた教員免許で教師として働く。そう、まぎれもなくこれは復讐の話なのだ。女が男に復讐をする、恐るべき話なのだ。

だが、ラストは読者が予想している内容と違う展開を見せる。私はバッドエンドになると思っていた。

性というタブーに真っ向から挑戦する安達晢には頭が上がらない。