エリコ新聞

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令和6年度診療報酬改定、新設された心理支援加算の点数が低すぎる件

厚生労働省ホームページより引用

今年の診療報酬改定で、とうとう心理支援に点数がつけられることになった。

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238907.pdf

複雑性PTSDの診断を受け、1万3千円のカウンセリングを月に2回受けている身としては大変嬉しい知らせだった。

診療報酬は1点が10円として計算される。医療の対価として払われたものを診療報酬と呼び、合計で500点だとしたら治療に5000円かかったことになり、保険を使うと3割負担なので1500円が本人負担になる。

www.med.or.jp

厚労省のホームページを見ると、30分以上の心理支援で250点とある。つまり、一回のカウンセリングは2500円ということだ。そんな安いカウンセリングは聞いたことがない。しかも、対象になるのはPTSDのみで、他のカウンセリングには適用されない。

PTSDの治療を行っているカウンセラーは軒並み金額が高い。おおまかにみたところ1時間1万円くらいのところが多い。しかし、これは高い金額ではない。3割負担だったら3千円だ。内科や皮膚科など、他の疾患で病院にかかった時のことを思い出してほしい。

PTSDの治療を行うカウンセラーも大学を出て、様々な資格を取らないときちんと治療できない。EMDR、持続エクスポージャー法、TFTホログラフィートークなど。自分でカウンセリングを受けているとわかるが、かなり高度な知識と技術がないとできない治療だ。それなのに250点。あまりにも安すぎる。

せっかく新設された心理支援加算だが、暗い予感しかない。特に気になるのが「精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理士のみ」とある。自分の担当医師が、私設のカウンセラーを紹介するとは考えにくい。精神科でカウンセリングルームを併設しているところが使うことになりそうだ。

ちなみに、私は精神科で併設されているカウンセリングルームで3割負担のカウンセリングを受けたことがある。ただ、どんな資格を持っているのかは分からない。公認心理士の国家資格ができたのも最近(2017年)なので、看護師だったのかもしれない。正直、そのカウンセラーは悪い人ではないが、これといった技術もないので、ただ雑談をするだけで終わった。最後の方は話すことが無くなってこちらが気を遣った。

20年くらい前にも、精神科と併設されたカウンセリングに行ったことがあるが、そこのカウンセラーは泣きながら話す私に対して何も言葉を発しなかった。私が話し終わったあと「カウンセリングが終わるまで、あと30分あるので待っててください」と言われ、時間が来るまで二人とも何も話さなかった。

二人がどんな資格を持ち、どれくらいの給料をもらっていたか分からない。ただ、あまりいい環境で働いていなかったのかもしれない。そして、クライアントを治療するという気持ちと技術は持ち合わせていなかった。だから今、高いお金を出して(正確には兄と交渉して代金は兄に出してもらっている)納得のいく治療をしてくれるカウンセラーに通っている。

カウンセリングは高いので、行けない人がたくさんいる。私もずっと行きたかったが、お金のことを考えて諦めていた。私と同じようにPTSDで苦しんでいる人がおり、治療に繋がれない人のことを考えると、今回の心理支援加算が新設されたといって素直に喜べない。

多分、2500円相当の質の悪いカウンセリングを医者から勧められる人が増えるだろう。そして、ひどい治療を受けて「カウンセリングは2度と受けない」と思う人が出ることが予想される。実際、私も精神科に併設されていたカウンセリングルームでは「カウンセリングってこんなもんなのか、受けなくていいかも」と考えていた。現在、治療を受け始めたのは、友人の勧めと、兄からの代金があるからだ。

児童思春期支援では公認心理士の精神療法でも1000点出ることになった。大人の支援もして欲しい。

厚生労働省ホームページより引用