なんだか、暗い文章の書いてある画像を載ってますが、これについてはあとで説明します。
まーこさんの裁判傍聴記をにしかわたくさんという方が漫画にして、その裁判の漫画についてまーこさんの考えが書かれています。
私は裁判というものにはあんまり興味がなく、まーこさんが本を出したから、という軽い理由で購入しました。私は本を買っても手にとって読むまでに時間がかかり、この本も出てからすぐに買ったのですが一ヶ月以上放置してました。すみません。
本が読めるくらい調子のいい時に手にとって読みました。
まーこさんも裁判に特に興味があったわけでなく、仕事で北尾トロさん(「裁判長ここは懲役4年でどうですか」著者)とその本を漫画化している松橋犬輔さん との対談の原稿作成のために裁判を初めて傍聴してハマり、それらの傍聴をまとめて一冊の本にしました。裁判傍聴に通いつめ目の前で行われる検察や弁護士、 被告の繰り広げる人間劇を書いたものです。漫画の絵はかわいい絵でその内容の緊張感を和らげてくれます。傍聴猫むーこもとても可愛いです。
アルコール依存症で197円の発泡酒を万引きして捕まった人から残忍な殺人事件まで取り扱っていて凄く奥深く、その裁判を膨張しているまーこさんの感覚が非常にまっとうなのでとても面白く読ませてもらいました。
本の中で「これから刑務所へ行きます」という章があります。
80代なかばの男性が自宅に火をつけたことで捕まりました。放火は殺人と同じくらい罪が重いそうです。
被告は心臓に持病を持ち入院していた病院から帰宅後、飲酒して福祉事務所へ「生活保護費前借りできんかね」と電話しましたが、あえなく却下。電話を切ったあと新聞を丸めて火をつけます。「ラクになるには一日も早く刑務所へ行くこと」
刑務所へ行けば食事もでるし、お風呂にも入れますし、他の囚人たちもいます。自由こそありませんが、最低限の生活は保証されているのです。
80歳で家族もなく仕事もなく頼るあてもなんにもない。そこで刑務所へ行くことを望む。悲しいけれどもこれが現実です。そして、私はこの章で泣いてしまいました。このおじいさんと私があんまりにも似ているからです。
おじいさんは検察官にこう話します。
「私なんて社会にとっても役に立たない。早くあの世に行ったほうが行ったほうがいいんじゃないですか」
私が考えていることと全く同じ。違う点はおじいさんは刑務所を望んだけど私は死を望みました。というか、おじいさんにとっての刑務所は「死」なのでしょう が、私は刑務所というところまで考えが及ばずに「死」にすっ飛んでいってしまったのですが。刑務所へ行ってまで生きようとするおじいさんよりも死のうとし た私はヘタレです。
おじいさんが放火する前に書いた衝撃的な文章があります。
「これから刑ム所へ行きます。
他の住居人には申し訳ない。
死刑になったり
ムキになっても
すでに80才をこえた私には
ミレンはありません
バカヤロ!」
で、私がトップにこの暗い画像を持ってきたかということに移ろうと思います。この画像は私が書いたもので去年多量服薬する一ヶ月くらい前に書いたもので す。精神病新聞最終号のつもりで書きました。行き詰ってどうしようもできなくて「死んでやる!」として書いたものです。書いたあとは結局多量服薬しなかっ たのですが。
一緒ですよね。もうやけくそなんですよ。
この「バカヤロ!」も「やっと死ねた!」も。
社会で人並みに生きたいのにうまくいきれない。
どうにかしたいのにどうにもできない。
バカヤロウ!しらねーよ!自分が死んだって誰一人悲しまねーよ!
おじいさんは計五回刑務所に入っており、28年間刑務所で過ごしています。50年間くらい仕事もしていません。おじいさんにとっては現実社会よりも刑務所のほうが生きやすいんでしょう。
おじいさんは無事(?)刑務所に入れました。病気もあるし年齢もあるのでこれからどうなるかは分かりません。
刑務所にいるおじいさんと私は同じなんです。
おじいさんに自分を投影して泣いてしまいました。
「まーこと裁判所へ行こう!」は名著です。
重い裁判もありますが、裁判についても分かりやすく説明されており、読みやすいうえに、心にズシッとくるものがありました。
また、随所にユーモアも散りばめられています。そのユーモアも好きです。毒のように感じるけど毒があるくらいが体にはいいんじゃないかと思います。
法廷ライター まーこと裁判所へいこう! (2010/10/30) 岡本 まーこ 商品詳細を見る |