先日、友達に出版記念パーティーを開いてもらった。規模はごく小さく、4人で友達のお店のみじんこ洞に集まった。人から何かを祝ってもらうことなんてほとんどないので、なんとなく照れ臭い。
友人たちは私のためにジルスチュアートのクリスマスコフレをお祝いにくれた。
クリスマスコフレの存在は知っていたのだが、手に入れようとお店にいってもすでに売り切れになっていて一度も買えたことがない。
私は嬉しくて胸のあたりがこそばゆかった。
クリスマス限定の化粧品は女児が愛する玩具のような愛らしさで見ているだけでウキウキする。
友達にお礼を言って受け取った。
色々と辛いことが人生で起こったけれど、私は人に恵まれているので、まだ生きていけそうだ。
毎年クリスマスには自分にプレゼントを買っていたけれど、今年はなしにした。だって、ジルスチュアートがある。
24日のクリスマスイブはオフ会に参加してきた。
午前と午後に漫画の原稿をやり、目処がついた頃に、会場の蒲田温泉に出かける。替えの下着を忘れてしまい、通りすがりのしまむらで300円のパンツを買う。
私は銭湯が好きだ。知らない街で知らない人同士でお風呂に入るのは、なんとなく奇妙だ。
おばあちゃんの皺だらけの胸元や曲がった背中を見ると励まされている気がする。
「あなたもいつかこうなりますよ。だからと言ってそんなに悪いことじゃない」茹で上がった肌から語りかけられる。
スパ銭だと若い家族や中国人なんかもいて、もっと賑やかになる。まるで、スパ銭にいる間だけちょっとした家族みたいだ。
街中の銭湯になると、おばあちゃんから話しかけらたりして面白いし嬉しい。
蒲田温泉の黒湯はちょっと熱めで気持ち良かった。
漫画の原稿でパンパンになっていた頭を空っぽにする。お湯に浸かるといらない感情や情報が洗い流されてリセットされる。私は銭湯が大好きだ。
髪を乾かし、化粧をして、二階の宴会場に向かう。前回のオフ会で会った人が話しかけてくれた。
私は人の顔を覚えるのが苦手なので、とっさに名前が出てこなくて困った。名前を聞いて、記憶をたどり改めて挨拶をする。
オフ会はめちゃくちゃ参加している訳でもないし、特別親しい人がいるわけでもないが、こうやって空いている日に知らない人同士が楽しく交流できるのはありがたい。
私が友達を作ってきたのは、インターネットの場がほとんどだし、今回出した本もインターネット経由だ。インターネット万歳。
普段なら出会うことのない人たちと、とりとめもなくおしゃべりをし、プレゼント交換会をして解散した。私は入浴剤と皇室の佳子様のカレンダーをもらった。
去年のクリスマスは一人で高尾山に登っていたが、今年は一人ではなかったので、自分に合格点を出したい。電車の中の恋人たちはティファニーなどのブランドの名前が入った紙袋を下げているが、私の紙袋には佳子さまがいる。私の方が強い。
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