エリコ新聞

小林エリコのブログです。

心を病む人のためのコミュニケーション

「心を病む人のための高森流コミュニケーションQ&A」という本を読みました。高森信子さんという方が著者なのですが、SSTのリーダーとして活 躍しておられるそうです。SSTは簡単にいえば「コミュニケーションの練習」なのですが、精神病者が「今使いたいコミュニケーションの方法」が地に足の着 いた感じで書かれていてとても好感が持てました。当事者向けだと思います。同時に家族の方にも読んでいただきたいです。精神病を抱えた当事者が「今、何に 悩んでいるのか」ということが理解できると思います。

どれくらい地に足の着いた感じかといえば「美容院などで「お仕事は何ですか?」と聞かれたときにどう答えていいか分からない」という悩みなどが載っています。多分、健康な人には到底理解出来ない悩みだと思います。でも、これに悩んでいる人はとても多いです。

精神病の人は基本的に、嘘がつけないので、つい本当のことを言ってしまう。そこを高森さんは「美容師の人は「今日は天気がいいですね」と同じくらいの挨拶 程度に聞いているんですよ」と答えています。本当に当たり前といえば、当たり前すぎますが、それが当事者には分からないのです。また、そういう時のうまい 答え方なども書いてあります。

しかし、私が一番びっくりしたのは高森さんが当事者と家族の両者の気持ちをしっかりと理解しているという点です。その上でどういうふうにコミュニケーションをとればうまく親子で生活できるか、ということを提示してくれています。

例えば、20歳を過ぎても家でごろごろしている精神病の息子がいるとしましょう。家族にしてみたら「いい年をして働きもしないで」という思いでしょうが、息子にしてみたら「体がだるくて動けない。寝ていることしか出来ない」という状態なのです。

そういう状態の家族の関係を上手なコミュニケーションをして両者の気持ちを理解し合い、尊重し、折り合いをつけるやり方が書かれています。

家族以外にも友達とのコミュニケーションのことや診察の上手い受け方。一人暮らしをするためにはどうしたらいいか、結婚がしたい。など、今すぐ使えるものから未来に向けて書かれています。私の感覚では実用書的な感じに使っています。

実用書と呼んだのは、私が主治医が変わり、初診に不満があったためどうしたものか悩んでいたときにこの本を読みました。この本を読んだら医者に伝えるべき点が挙げてあってその通りにしたらうまくいったのです。

ただ「眠れません」「やる気が出ません」「死にたいです」などの言葉では医者もどうしていいか分からないでしょうし、医者は薬を適切に出すのが仕事なので患者の愚痴を聞いている暇はありません。

要点として

①どれくらい眠れているか。(例:薬を飲んだ時間や眠った時間、朝どうしても起きられない)

②薬についての質問(例:どこに効いて副作用は何か)

③気分の調子(例:朝は気分がよい、週末は気分が落ち込む)

④生活の広がり(例:作業所に行けるようになった、コンビニに買い物に行けるようになった)

の四点が大事だとありました。

早速次の診察の時に実行してみました。診察時は私は緊張してしまうので、あらかじめ紙に書いておきました。そうしたら、薬が減って新しい薬が出て、説明もちゃんとしてもらえて自分自身も納得のいく診察になりました。

私のその頃の悩みは「朝早く起きてしまって体が痛くて二度寝も出来ない」というもので、それで仕事に行くのを休んでしまうこともあって、休むと罪悪感にさいなまれるので悪循環に陥っていました。

そして、新しく処方された薬を飲んだらとても良く眠れました。体の痛みはありませんでした。何年間もこんなにぐっすり眠れたことはなかったので自分でも驚きました。そして、眠れたことにより、仕事もパニックになったりすることが少なくなりました。

病気によってマイナス思考になり、作業効率が悪くなることが引き起こされると思っていたのですが、ぐっすり寝てすっきり起きたら全て解消されました。睡眠が大事だということにずっと気づきませんでした。そして、薬が効いたことにより医者への信頼感が高まりました。

私はこの部分がとても役に立ちました。いろんな項目があるので必要なときに必要なところを読むといいと思います。

そして、よく出てくるのは「私、メッセージ」という単語です。

当事者はよく相手のせいにしたり、自分の考えをはっきり言わないことが多いです。そういう事をやめて「私はこう感じているんです」とはっきり伝えれば誤解や摩擦も少なくなるとありました。積極的に実践していきたいです。