エリコ新聞

小林エリコのブログです。

もう直ぐ誕生日

私の誕生日は7月8日で、もうすぐ四十三歳になる。正直、こんなに歳をとるまで生きると思わなかった。子供の頃はすごく体が弱くて大学病院をはしごしていて、中学生になった時、父に「お前は小学生で死ぬと思っていた」と言われたくらいだ。母はそれを聞いて父を怒ったけれど、私はいつもどこか痛くてだるくて苦しかったので、確かに長生きしないだろうとは思っていた。それなのに四十三歳である。長生きしすぎだ。

最近春になると健康診断を受けるのだけれど、なんの病気にも引っかからない。なんだか信じられない。私はもうちょっと早く死ぬものだとずっと思っていた。十代の時は「三十歳になるまで、何者にもなれなかったら死のう」と真剣に思っていた。そして、何者にもなれなかったので、自殺を何回か試みたけど死ななかった。死なない、というのはかなり滑稽である。大量の薬を飲んだ後、緊急で病院に搬送されて、胃洗浄をされた。その時、お昼に食べたおにぎりの粒まで一緒に洗浄されて出てきた。黒い海苔とご飯粒。自殺ってかっこ悪いものだと学んだ。

自殺に関しては随分長いこと考えていた。自殺とタイトルにある本があれば絶対に読んだし、自殺した作家の本も随分読んだ。心にずしっときたのは「自殺をしても、自分以外の人間が生き続けると思うとバカバカしい」と言う文章だった。芥川龍之介だった気がする。

私はまだ生きている。おめおめとかっこ悪いまま生きている。お昼は冷凍食品と手作りのおかずを詰め込んだお弁当を職場の会議室で一人で黙々と食べ、パソコンに向かってアンケートの入力なんかをしている。帰りのスーパーでは1円でも安い品物を探し、安いワインと缶チューハイを買い、一人でとぼとぼ歩いて帰る。今思うと、十代の時、「何者にもなれなかったら」と考えていたが、私は何者になりたかったのかさっぱりわからない。

もう直ぐ四十三歳で、誕生日。祝ってくれる家族がいないので、アマゾンほしい物リストを公開し、ファンにプレゼントをねだった。何件かプレゼントが届いてなんだか泣きそうになる。私は子供の頃にもらった誕生日プレゼントを一つも覚えていない。もらっていたと思うのだが、全く思い出せない。私はいつからか、欲しいものをもらえないので、現金でもらっていたと記憶している。

私は見知らぬ人との繋がりによって、細々と命を繋いでいる。来年もまた誕生日が迎えられますように。

*良ければ7月7日に池袋のイベントバーエデン一日店長をやるので遊びに来てください。