エリコ新聞

小林エリコのブログです。

降りて行く生き方

昨日、池袋のホームレスを支援する団体のところで食事会に参加してしてきました。

ホームレスの6割は何らかの精神疾患を抱えているという調査結果が出ています。

私が参加したのはNPO法人の事務所で以前ホームレスをしていてNPOのスタッフの援助を受けてグループホーム等で暮らして作業所に通ったりデイケアに行ってる精神疾患(主に統合失調症)を抱えた人と一緒に食事を作って食べる会でした。

参加している方々は40歳過ぎくらいの男性ばかりでした。上下スウェットなどの人もいましたが、身だしなみもそれなりにきちんとしていました。

私はここのところ引きこもりがちでほとんど人にあっていなかったので、なんかその場にいただけでほっとしました。

みんなで役割分担をしてとん汁とご飯とお漬物を作って食べました。お漬物はスーパーで買ったものですが。

料理が出来上がってみんなで手をあわせて「いただきます」をして食べました。食事をするときに手を合わせるのは小学生の時以来でした。

お米は古米だし、とん汁なんて別に贅沢な食べ物ではありませんが、なんだかもの凄く美味しかったです。先日、講演会に参加して偉い方々と結構な中華料理を ご馳走になり、普段食べられないホタテやらエビやらを食べましたが、緊張して味も何もわかりませんでしたが、古米ととん汁をみんなで食べたほうが何倍も美 味しかったです。

ある、男性が言いました。

「みんなで食べると美味しいなー」

本当にそのとおりです。

高級な料理でなくても、みんなで食べると美味しいということに気が付きました。

そして、なぜ、偉い方々と高級な料理を食べても美味しくなくてホームレスをしていた方々質素な食事を食べたら美味しいのかと思うと、そこには「弱さ」があったからです。

弱さが集まると場が優しくなります。

ここに来ている人たちは皆若い頃大変な苦労をされた方々で、とび職をしていて足に大怪我を負ったり、テキ屋で働いたりしたことがあるような人たちでした。 この人達は年を重ね精神疾患も抱え、多分これからは昇っていく生き方はできないと思います。高級外車を乗り回したり、いい家にすんだり、毎日美味しい物を 食べるような日々は来ないと思います。人生を降りていっていると感じました。

だからと言って、絶望や悲しみはなく、温かさを感じました。最低限の生活だけれど、共に生きていく仲間がいる喜びを感じました。

私は今、自分の生活に不満が満載で、流しでお湯が出て、お風呂も沸かすのに40分もかからないで、スーパーで買い物をするときに値段をあんまり気にしない ですんで、毎月貯金もできるような生活がしたい、と思っていました。その不満が周りの裕福な人への妬みや憎しみに変わっていましたが、この人達と居たら、 なんとなくどうでもよくなってきました。

私はまだ30を少しすぎたくらいなのでもうちょっと昇ってから降りたいですが、これが「降りていく生き方」で「弱さでつながる」ことなのだなと実感しました。