エリコ新聞

小林エリコのブログです。

エリコ新聞「ロックの終わり ヒップホップの始まり」

文学フリマに向けて、2023年2月発行の「エリコ新聞」を公開します。

 

*エリコ新聞は書店さんに置いているフリーペーパーです。

配布店:新宿の模索舎、下北沢のB&B、大阪のシカク、西荻窪の今野書店、幕張のlighthouse、大阪の清風堂書店、ときわ書房志津ステーション店、まるさんかくコーヒー、雑貨と本gururi、百年の二度寝芳林堂書店高田馬場店、伊野尾書店

 

ロックの終わり ヒップホップの始まり

一番好きな音楽のジャンルは何かと聞かれたら、「ロック」だと長年、答えていました。しかし、ここ最近はヒップホップばかり聞いています。好きなラッパーはAwich、ZORN、練マザファッカーのD.O。聴き始めたばかりなので、まだ詳しくないけれど、心惹かれるのはギャングスタと言われている人たちの曲です。いわゆる「悪い」人たちが自分たちの生まれや育ち、やってきた犯罪をビートに乗せて歌うのを聞くと、心がビンビン共感してしまいます。(Awichは悪いことをしていないラッパーです)

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どんなアーティストがいるのか簡単にご説明します。

ZORNの『家庭の事情』という曲の歌詞は「人生の最初の方 洗い物溜まった台所 ママがパパのこと刺し殺そうとしても 親は選べない子供 コンビニ弁当がお袋の味 いつも着てる洋服も同じ 幼稚園のカバンから注射器 家の中が18禁」というヘビーなリリックで、生ぬるい人生を送っている人全ての耳に流してやりたい内容です。

舐達磨というメンバーは金庫破りを繰り返し、警察から追われている時に交通事故でメンバーが死亡するという悲しい事故を経験しており、その体験が曲になっています。現在も時々、大麻取締法違反で警察に捕まるなど、話題の提供に事欠きません。

そんな悪い人たちに共感するなんて、小林エリコも過去に悪いことをしていたのか、などと疑われそうですが、金庫破りも、薬物もやっていません。(精神科の薬は飲んでいます)じゃあ、なぜなのかと問われたら、もう、時代が平和じゃなくなったからです。生まれた時の環境から抜け出すことが不可能で、悪いことをするくらいしかお金を稼げない現代を生きている彼らにシンパシーを感じるのは私だけではないはずです。最近、ヒップホップムーブメントが盛り上がっているのは、社会が残酷になっているからだと感じています。

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私が10代の頃に流行したロックバンド『ブルーハーツ』は「ロクデナシに貸す部屋はねえ」と言われた体験を歌って若者の共感を得ていましたが、不動産屋に行って部屋を借りようという頭がある時点で、結構恵まれている気がします。今、ニュースになっているルフィと名乗る指示役がいる強盗集団も『部屋が借りられない』程度の苦労だったら、あんな犯罪を起こしていなかったのではないでしょうか?

私はルポやノンフィクションが好きでよく読むのですが『ルポ川崎』の中に「ここで生まれて金持ちになるには、盗みをするかラッパーになるしかない」という若者の言葉がありました。どういう二択だよ、と失笑されそうですが、それが彼らの生きている現実であり、その言葉が真実なら、ヒップホップをやっている人は相当真面目で偉いと言えます。

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ここ20年くらい、日本は停滞し続け、安倍首相が銃で撃たれ死亡し、岸田政権になってから、加速度的に政治は劣悪になってきました。史上稀に見る円安、物価高、上がらない給料、少子化なのに7人に1人の子供は貧困で、彼らのために動くのは、子ども食堂などを行う民間団体。生まれた時からどん底で、声をかけてくるのは悪い大人ばかり。そうやって犯罪に手を染めた人が、自分の体験をラップするのって、最高にかっこよくないですか? ヒップホップで一発売れて、金持ちになりたいという夢を抱く方が健全じゃないですか?

ただ、一つ残念なことは、女のラッパーがほとんどいないことです。なぜかと考えたのですが、鈴木大介さん(裏社会のルポが多い)の著書で「貧乏な男は犯罪者になり、女は風俗嬢になる」という記述を思い出しました。もちろん、データはありませんが、たくさんの裏社会の人と出会ってきた彼の実感からくる言葉です。

私は女なので、やはり、女のラッパーを応援したい。元風俗嬢とか、ホストに貢ぎまくった女とかが、自分の体験を大声でラップして欲しい。私も家族からの虐待や生活保護受給など、ラップしたら売れそうな体験を持っているので、ヒップホップでひと山当てたいのですが、声が良くないし、リズム感が全くないので悲しいです。それでもMC ERKとしていつか舞台に立ちたいと夢見ています。

 

11月11日の文学フリマ東京で、新刊「実の兄から性虐待を受けた私がカウンセリングで複雑性PTSDの治療に取り組んだ記録」を販売します。

エリコ新聞をまとめたもの、タケ漫画も販売します。

ぜひ、お越しください!

 

 【2023/11/11(土)開催/文学フリマ東京37】

12時から17時

入場無料

 出店名: 小林エリコ

 ブース: E-48 (第一展示場)

bunfree.net

当日、来られない方のために、ネットショップでも販売します。

発送は文学フリマ終了後になります。

予約特典のステッカーもつくので、ご予約お願いします。

erikokobayashi.booth.pm