エリコ新聞

小林エリコのブログです。

腰のしこり、その後

MRIの結果が出たので、今日は仕事を休んで診察に行った。名前を呼ばれて中に入ると、医者がいなくて、待つように言われる。しばらく待っていると、前に痛み止めを出してくれたお医者さんが来てくれた。そして、「どこかに腰をぶつけたり、怪我をしませんでしたか?」と聞かれた。

一週間前、腰のしこり部分が痛みだし、痛み止めを出してもらったので、その時のことらしい。しかし、どこかで怪我をした記憶はない。そのため正直に「これといって、心当たりはありません」と答えた。

 

そして、肝心のMRIの結果なのだが、脂肪の塊があり、その中で内出血しているという。脂肪腫といって、脂肪の塊はよくあるけれど、血液が溜まるのは珍しく、もしかしたら、脂肪筋腫(ガン)の可能性もあるとのこと。時間が経って、中の血液がなくなればただの怪我による内出血だけど、血液が無くならなければ、ガンの可能性があるので、一ヶ月後にもう一度、検査をするので、診察に来てくださいと言われた。

 

ガンかもしれないし、ガンじゃないかもしれないという酷く宙ぶらりんな状態になり、正直、めんどくさいなあと思ったが、次の診察の時、仕事が休めるのがありがたい。

 

そして何故か、ガンの可能性があるというのがなんとなく愉快だった。私は全く落ち込んでおらず、むしろ、明るい心持ちで自転車に乗って自宅に向かった。

 

入院は精神病院の入院を何回も経験しているし、救急車に乗ったり、カテーテルをしたり、人工透析をしたり、色々やっている。それらは、全て精神にまつわる処置であり、本当の肉体の病気というのは今回が初めてである。私はそれが嬉しかった。

精神疾患や自殺未遂の患者は病院から嫌がられるし、めんどくさがられる。初めてスティグマのない病気になったことで、やっと普通の人間になれた気がした。

思えば、最後の入院の時、母が「あなたが入院したら、私が準備をしたりしなきゃならないのよ!」と私に向かって叫んだことがあって、あの時、私は酷く怒った。「別に家族がいなくたって、一人で入院できるし、親がいなかったら、いないでなんとかなるのが社会だよ!」と。

私はあの時に、自分が母親にとって大きな障害であり、いらないお荷物なのだとはっきり理解した。面倒を見るのが嫌なのなら、産まなければいいのにと何度思ったことだろう。

 

今の時代ではガンは死ぬ病気じゃないといわれているし、急に死ぬこともないと思うけれど、やっぱり死ぬことはあまり怖くない。もちろん、なんとなく悲しかったり、自分が生まれてきて、仕事でなんの成果も残せなかったこと、作家になったけれど、さっぱり売れないこと、死んでも数年後には誰も思い出さないであろうことなどを考えると、甘い自己憐憫に酔うことができるが、私は運が悪いので、そんなにすぐに死なないと思う。運が良ければ、もっとあっさり死んでいるし、精神障害者にもならず、生活保護も受けていなかったと思う。

 

新刊よろしくお願いします。

 

私がフェミニズムを知らなかった頃

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