エリコ新聞

小林エリコのブログです。

年末と新年のこと

今年は仕事納めの次の日に実家に帰った。今までは大晦日と元旦くらいしか実家に帰らなかった。なんとなく、母に対して居心地の悪さを感じていて、長居をしたくなかったのだ。

早く帰ろうと思ったのには理由があって、年老いた母のことを考えると、もうちょっと側にいたほうがいいだろうという気持ちになってきたのだ。

私の実家は茨城なので、新幹線に乗ることも夜行バスに乗る必要もない。キャリーバックに着替えを何枚か入れ、暇つぶしのゲームやパソコンまで詰め込んで鈍行の電車に乗って実家に向かった。

実家は綺麗に片付いていて、母がきちんと家事をしていることに驚かされる。家族で住んでいた時はもっと汚かった。人がたくさんいるから汚かったのか、母の精神が荒れていて家事ができなかったからなのか。どちらなのかはわからない。母は昔、暴れ者の父のせいでうつ病になったことがある。学校から帰宅すると母は布団の中でじっと目を閉じていた。私の問いかけに答えず、無言を通していてとても怖くて悲しかった。

母と二人でスーパーに行き、お正月用の買い物をする。お正月だから美味しいものを食べようと牛肉やらエビやらを買う。

帰宅してから、まだ正月のものを食べるのは早いからと二人で餃子を包んで食べた。

これといったストレスもなく母と一緒にいられるようになり、喧嘩も言い争いもしない。二人してテレビのワイドショーを見ながらニュースに対してあれやこれや言い合った。なんだかやっと本当の家族になれたような気がした。

お風呂に入って布団に潜ったらスコンと眠りに落ちてしまった。

結局、3日までだらだらと実家にいた。

二人して初売りで福袋なんて買ってしまった。どう考えてもお得だし、滅多にいいものなんて使えないしなどと言い合って、化粧品やちょっといい紅茶やらを買った。

実家を出て、鈍行電車に乗って自宅に帰る。一人暮らしの部屋は見慣れた風景なのになぜか物悲しい。乱れた布団は年末に家を出てきた時のままだ。お帰りなさいも、ただいまもない家。なんだか寂しくなってしまったが、布団に入ったら難なく眠れた。私の神経も幾分太くなったようだ。

次の日は起きてから初詣に行った。実家にいたときに、成田山新勝寺に行ったのだけれど、あまりの混雑でお参りができなかったのだ。

電車に乗って浦和に向かう。去年、ここの調神社でお参りをしてから良いことが起こっている気がするので、今年はここに一度は来ようと決めていたのだ。

意外にも人が多く、並ぶことになった。本を読みながら自分の番を待つ。

北風がびゅうびゅう吹いて冷える。30分くらい待って自分の番になりお賽銭を投げ入れた。目を閉じて祈る。

私は能力が人より劣っている。運動もできず、勉強もこれといって得意ではない。絵も下手だ。だからいつも目に見えぬ何かにすがり、私にも幸せを分けてくださいとお願いする。私が信心深いのは私の無能さゆえだ。

こんな私だが、昨年は本を出版できたし、漫画の仕事がもらえた。良い年だった。

今年も良い年でありますように。

連載中「エリコの失敗日記」