「奇跡のリンゴ」を読み終わりました。
今まで読んでいなかったのが恥ずかしいです。
表紙に写っている木村秋則さんはすごく穏やかな顔をしているので、本を読むまで木村秋則さんが壮絶な人生を送ってきたとは気付きませんでした。
りんごというのはいろんな種類の相当の量の農薬を使うそうです。奥さんが農薬に敏感な体質なため農薬を使うのを一切やめました。農薬を使うのは不可能と言 われていました。無農薬を始めた木村秋則さんは、周りのリンゴ農家からも「あいつはおかしい」と村八分に遭い、リンゴの木が実をつけず、収入も減り、出稼 ぎに出たり、畑仕事が終わってから街に行きキャバレーで客引きやボーイの仕事までしていたそうです。
収入が無くなっていくのに木村秋則さんはかなり責任を感じて自殺まで考えました。
山に登って紐をくくって首をつろうとしますが、紐がポーンと遠くに飛んでしまい、失敗します。そこで、地面に落ちた紐をとろうとしたときに、山の土に触れ ます。そこにはドングリの木がいきいきと生い茂っています。「山や森には農薬が無い。なのにこんなに木がこんなにもいきいきとして実をつけるのはなぜなの か?」と思い、木村秋則さんは農薬を使うのを一切やめます。しかし、酢を撒くなど最低限のことはしていたそうです。しかし、雑草などは刈りませんでした。 虫や、動物が集まり周りからは「荒れ放題のひどい畑」と思われますが、逆に言えば「自然のままの状態」の畑になったと言うことです。
8年間、一切花も実もつけなかったりんご畑はようやく花と実をつけました。無農薬でリンゴを栽培することに成功しました。リンゴに農薬も有機肥料も与えず、自然のままの状態に戻すことで、リンゴの木がリンゴの木本来の力を取り戻したのでしょう。
これはまさに「自然」と「リンゴの木」と「木村秋則さん」が成し遂げた偉業です。
これは、今の精神医療界にも非常にリンクすると思います。
「自然」は「社会」。「リンゴの木」は「当事者」。「木村秋則さん」は「医療」だと思います。
当事者の力を取り戻し、薬漬けにするのでなく、最低限の薬、支援の仕方で当事者自身の力に任せることが大事なのではないでしょうか。
そして私たちは非常に複雑な「社会」の中で生きています。その中ではいろいろな事象や人が関わり合って生きています。私たち人間は一人で生きているのではありません。木村秋則さんの言葉にこうあります。
「リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。人間はそのことを忘れてしまって自分独りで生きていると思っている。」