エリコ新聞

小林エリコのブログです。

外国人労働者と 一揆がしたい(2023年9月3日発行の「エリコ新聞」公開します)

日本は島国ゆえ、海の向こうから人がやってくることがあまりなかった。私が子供だった40年くらい前は、周りに外国人は全くいなかった。茨城という土地柄もあるだろうが、道を歩いていて遭遇したことがない。東京の短大に通い出してから、繁華街で時々すれ違うことはあったが、そんなに数は多くなかったというのが体感である。

 

私が10代、20代の頃、外国人は「珍しい」存在だった。日本は観光地としてパッとしないし、昔は円が高かった。それゆえ、出稼ぎに来ているブラジルやフィリピンの人がいたけれど、彼ら、彼女らは工場や水商売の店で働いていることが多く、生活圏が異なっていて、出会う機会はなかった。

 

あれから20年経って、あちこちで外国人を目にするようになった。コロナ禍以降、円安が進み、外国人観光客が爆発的に増えた。渋谷のスクランブル交差点が、なぜか観光名所になっており、みんなスマホで撮影しながら横断歩道を渡っているし、日本アニメが世界的に有名になったため、オタクの聖地秋葉原は外国人が溢れている。

 

私が住んでいるのは東京寄りの千葉県だが、近所のコンビニは、いつの間にか日本人がいなくなり、インド人や中国人が働き始めた。コンビニの仕事はやることが多い上に、非常に忙しいが、彼ら、彼女らはカタコトの日本語を使いながら働いている。私はレジでお釣りを受け取りながら、なんとなく申し訳ない気持ちになる。

コンビニの従業員は時給が安い上にスキルアップが見込めない仕事で、主に学生や主婦がやるものであった。日本の人口が減り、働き手が減った今、いろんな仕事を外国人がやってくれている。しかし、日本は外国人に優しくない。入管施設で亡くなった(殺された)ウィシュマさんや、外国人技能実習生の悲惨なニュースを見ると胸が痛む。

 

先日、家の近くを歩いていたら、老朽化した店の取り壊しが行われていた。ふと、そちらを見たら、土木作業員として働いているのが全て外国人で、仕事で使っている言葉も日本語ではなかった。日雇い労働は誰もやりたがらない過酷な現場ゆえ、日本人でも滅多にやらない。最近、寄せ場では高齢化が進んでいると聞いたが、その代わりに海外の若くて安い労働力が現場を支えているのだ。日本人だろうが外国人だろうが、安いお金でキツい仕事をさせるのはよくない。だが、日本人だったら日本国籍があることで生活保護などの福祉制度を利用できる。それに、日本語が話せる。だが、海外から来て、日本で働いている彼ら、彼女らにどの程度の保証を日本がしているのだろうか。

 

健康保険証はあるのか?        

銀行口座は作れるのか?

アパートは借りられるのか?      

携帯電話の契約はできるのか?

 

圧倒的な弱者である彼ら、彼女らの労働力から生み出されたものを享受しておいて、のうのうと日本で暮らしている自分に嫌気がさす。もちろん、きちんとした会社で働いている外国人もいるだろうが、そうでない人の方が多いだろう。

海外から日本にやってきて、奴隷のように働かされ、そこを逃げ出し、犯罪に手を染める外国人もいるが、仕方ないよな、としか言えない。こんなクソみたいな場所で生きるためには悪いことくらいしないと生き抜けない。(北関東「移民」アンダーグラウンド 参照)

一番望ましいのは、海外から働きに来た人に日本人と同じ待遇を与えることなんだけど、まだ「伝統的家族観が破壊されるから夫婦別姓はなし」と、言ってる現政権じゃ無理そう。

 

そして、卵が1パック300円近い時があり、牛乳も200円くらいになってきて、日本人である私ですら生活がキツい。安い公営住宅に入りたいけど、倍率が高くて当たらないのに、再開発で富裕層向けの高層マンションばかり建つ。時給も1500円以下。竹ヤリ持って外国人労働者一揆でもやりたい気分です。

 

*基本的に紙で公開していますが、今号はウェブでも読めるようにしました。

過去のエリコ新聞をまとめて同人誌にしています。

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